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発達段階説 - 青年期におけるアイデンティティ確立をめぐって

    今回は私なりに人の発達段階、特に青年期におけるアイデンティティに注目して記事を書きました。

 私自身大学生になり、自身と向かい合い試行錯誤を繰り返しながら悩みに悩んだ経験から、この青年期におけるアイデンティティという話は大学生である私にとって非常に重要かつ避けられないテーマでありました。さらに最近では就活を控えた2年生や3年生、はたまた就職先の決定した4年生までもが「自分のやりたいことは何なのだろう...」「そもそも自分って何...?」とアイデンティティを見失い、アイデンティティの確立に苦しむ様子を間近に見て、相談に乗ったりしている中で、そろそろ考えをまとめて発信しなければ、と思った次第です。

 

 ユングから始まった発達段階説は通常、人生全てにまたがるものですが、本記事では特に大学生のアイデンティティに焦点を当てています。ユングの言葉でいう青年期の危機、エリクソンの言葉でいう思春期における同一性と同一性拡散に近い部分もありますが、ユングエリクソン、レビンソン、スーパーなどの発達段階説に関する偉大な先行研究・著書を参考にしつつも、私自身内省し、執筆しました。本記事ではアイデンティティの確立とその周辺に関して明確に示し、さらにアイデンティティを確立するための手段を提案することで、アイデンティティを確立し自己実現に向かえる一助になることを目標とします。

 

アイデンティティとは 

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 まず私は「アイデンティティ」を確立している状態のことを「環境や時間の変化にも関わらず、自己を自己として認識し、受け入れている状態」と定義しています。つまり、性別、年齢、経済状況に関わらず、世界の中の1個体として自身を捉えることができている状態です。

 例えば、高校生のときの私は、「家族内での私」と「学校での私」と「部活での私」は全て異なっていました。そしてその差異に苦しみもしました。この状態は1個体として揺らいでおり、アイデンティティを見失っている分かりやすい例です。また、世間が言うことや一種の慣習などを、疑問を持たずに受け入れている状態もアイデンティティを喪失していると言えます。なぜなら、社会という環境に自分が左右されてしまっているからです。何となく周りの大人が言った通りに受験勉強し、就職活動を行っている人たち、いわゆる高学歴層にアイデンティティを確立できずにいる人が多い印象があります。また、反抗期がないというのもアイデンティティを確立できていない人の特徴で、両親の言うことに従い、自己と両親の差異を明確出来ずに自己が埋没してしまっています。

 

 一方、自己が一つに統一されていることはもちろん、自分が何をすることが好きで今後どうしたいのかが明確に分かっていたり、自分なりの考え(私は哲学とよく言います)を持ち、周囲に惑わされることなく行動できたりする状態は、アイデンティティを確立していると言えます。普通に成長して大学生になっていない人ほど早期にアイデンティティを確立している印象があります。これは、早期にいわゆる「普通の」生き方ではなく、例えばアーティストなどの夢に向かって邁進すると決心する際に、世間に縛られず自己と深く対話するからだと考えられます。

 

 そして、私はこのアイデンティティを確立していく時期を青年期と呼んでいます。発達段階説をめぐる議論では、よく対応する年齢も併せて述べられていますが、人の発達するスピードはその人の経験や周囲の環境に大きく左右され一概に述べることができないと考えているため、ここでは示さないものとします。

 

少年期~成人期を俯瞰する

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   ここで、よりアイデンティティに関して明快にするために、青年期前の「少年期」、そして青年期後の「成人期」も併せて述べていきます。「少年期」、「青年期」、「成人期」、さらにそれぞれの「移行期」も加え、それぞれの概念とともに表したのが下図になります。

 

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少年期(本能期)

   この時期は本能期とも言い換えられ、理性をほとんど働かせず本能によって行動します。例えば悪いことだと分かっていても興味本位でいたずらをしたり、自分の関心に忠実に行動し、あまり後先を考えず、外部からの目線も気にしない傾向にあります。したがって後で思い返しても、「なぜその行為を行ったのか」が明確に答えられず、その時の行為を論理的に説明することができません。主に幼児~初等教育の時期と重なります。

 進路・就職先を決めるときにはよく過去を振り返り自分の興味関心は何なのか考える場合が多いと思いますが、この少年期にアイデンティティの根本部分が形成されます。この時期にどれだけ幅広く、そして深く取り組めたかがその後のアイデンティティ形成にとって大事になってきます。

 

少年期~青年期への移行期(理性獲得期)

 この時期に理性を獲得し、理性的に行動するようになります。少年期には直感・本能だけが行動の指針でしたが、この時期からは物事を論理的に考え行動するようになります。主に高等教育の時期と重なります。基礎的な知識・教養を学び、基本的な価値判断能力を獲得します。この時期に培った理性が後の青年期における成長具合を左右します。

 

青年期(アイデンティティ探索・確立期) 

 この時期に自身を見つめ直し、アイデンティティを確立していきます。自分は、本当は何をしたいのか、何が好きなのかなど、自身と深く取り組みながら行動し、自身に関して考えを深めていきます。ここでいかに主体的に自身と向き合い、さらに試行錯誤を繰り返してアイデンティティを確立させ、さらに強化していくかが大事になってきます。少年期に関心が狭かったり経験が少なかったりすると、自発的に行動できてもその行動範囲が狭くなり、真に関心のある分野を開拓できない可能性があります。また、その後の移行期において十分な理性を身に着けることができていないと、青年期において内省することがままならず、自己を深く理解することが難しくなります。アイデンティティ確立後は周囲の意見を参考にしつつも自身の考えを持ち、主体的に行動することができるようになります。また、自己を自己として認めているため、他者と自分を比べることがなくなり、精神的に自立した個としての自己を感じることができます。

 

青年期~成人期への移行期(衝突期)

 アイデンティティを確立した後には、自己と社会との関係性に悩むことになります。つまり、自身が何者で、どうありたいかが分かっていても、社会でそれを実現することまでにはギャップがあります。例えば、自分は心から活躍できるミュージシャンになりたいと思い、ミュージシャンになることを決意しても、必ずしも活躍できるわけではありません。また、好きなことばかり行っていても、仕事にならなければお金を稼ぐことができず、生活ができません。要は、一定の社会的成功を収めるために、自身のアイデンティティを守りつつ社会でうまくポジションをとらなければならないのです。ここで、精神的に自立することができていても、自身の実力と理想のギャップに悩むことになります。

 

成人期(自己実現期)

 移行期に社会との関係を構築できたら、その後は自身の夢・目標に向かって努力します。移行期にある程度道筋を立てられ、能力も身に付いているため、ここでは非常にシンプルにかつ効果的に活動することができます。自身の活動が社会によい影響を効果的に与えることができ、人生が開けたと感じるようになり、自己が統一され、社会とも上手く関わっていけていると感じます。趣味と仕事は同一化し、ただやりたいことをやれば結果もついてくる状態です。

 

※備考ですが、その後「移行期」「中年期」「移行期」「老年期」と進み、次の移行期では過去を振り返り人生における価値観を見直し、中年期にその価値観にそって行動し、最後の移行期で死について恐怖を抱き、老年期に充実した人生を振り返り、死を受け入れます。(この4段階に関しては正直私自身実感がないので、先行研究を参考にしているところが多いです。)

 

 私自身を振り返ってみても、高校低学年までは特に意味もなく本能の赴くままに行動し、高校高学年、さらに浪人期に受験勉強を経て理性を獲得し、大学1年次にアイデンティティの確立のために色々と試行錯誤し、2年次、いかに自己を保ちつつ社会で生活を成り立たせていくのか、どのようなポジションをとって代替の効かない自己であり続けるのかについて悩み、現在ほぼ自身に関する戦略を確立し(1日前の記事を参照)、目標に向かって邁進しているという段階にあります。

 

 さらにこの5段階は、基本的にこの順序で進行しますが、例外も存在します。例えば、特殊な生まれ(アスペルガー症候群性同一性障害など)を持ち、自己と見つめ合わねばならない経験をし、さらにそれを克服することができた人は、少年期の途中にはもうアイデンティティを確立させてしまう場合があります。

 

 では、どうやってアイデンティティを確立させるか

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 ここまでアイデンティティを中心に全体像を俯瞰してきたので、次に、これを踏まえて冒頭のようなアイデンティティを確立できずに悩む人たちがどのようにすれば効率的にアイデンティティを確立できるのか提示していきたいと思います。

 

 私自身アイデンティティに関する研究に関心が高かったこともあり、意識して様々な人と関わってきた経験から、アイデンティティを確立できずに悩んでいる人、何がやりたいのか分からず悩んでいる人は、ほとんどの場合理性獲得期でつまずいていると考えています。というのも、その後アイデンティティを確立すべく自己と向き合うことになるわけですが、ここで必要とされる思考力は相当なものだと考えています。私の友人にもごく少数アイデンティティを確立し終わった人がいますが、彼らの思考力はみな研ぎ澄まされており、やはりその前段階で異常に本を読み、勉強しているのです。そしてただ知識を収集して覚えるだけでなく、自分自身で考える癖をつけているのです。この理性獲得期に十分な思考を身につけられていないと、自己内省が浅いレベルで終わり、アイデンティティをしっかり確立できません。したがって、月並みですが、理性が足りないと思う人は試行錯誤の前に腰を据えて本を読んだり勉強するなりして批判的思考力を鍛え、十分な理性を身に着けるべきだと考えます。

 

 また、大学生に最も多いのが、就活時期になり、進路を選択するときになって初めて自分のやりたいことについて考え、悩むということです。この事例に対する私の最も大きな懸念は、理性を獲得し、アイデンティティを確立するステップを飛ばしてしまっていることです。アイデンティティが欠落したこの状態で最適な仕事を選べることはほぼ不可能に近いのですが、就職時期は待ってはくれないために無理やり何か選ばされ、そこに努めることになります。そしてとりあえず就職したはいいもののやっぱり何かやりたいことと違うような気がして退職するとか、もっと悪い場合には、なんか違う気がするけどかといって他にやりたいこともないし給料も安定しているし、家庭を支えなければならないし、と結局ここで思考をストップさせ盲目的にずっとその企業で勤め上げてしまいます。そして40代50代の中年期に過去を振り返り、「あれ、何も成し遂げてないな」「やっぱりやりたいことと違ったな」と気づき、ユングの言う「中年の危機」に苦しんでしまうわけです。もし、就活前にアイデンティティを確立することができていれば、自分の可能性をもっと広げられたと思います。したがってここで大事になってくるのが、就活前に意地でもアイデンティティを確立し終えることになります。もちろん、就職した後に転職をしたりしてアイデンティティを模索することはできますが、給料や家庭の問題から保守的になる場合が多く、再びアイデンティティの模索・確立期に舞い戻ることは難しいのです。ですからできるだけ就活前に確立させることが理想になるのです。よってここで私が提案できることは、大学1,2年次を何の意味もなくバイトやサークル、部活動、インターンなどに時間を費やすのではなく、常に自己と向き合いながら意識的に行動し、アイデンティティを模索し、確立していくことです。そして、徐々に自己が見えてきたら、関心のない分野は切り捨て、関心のある分野に焦点を当てていけば、ある程度明快になってくると思います。

 

 まとめると、私の一つの理想は、小中学生の時まではよく遊び関心を拡げ、高校生でしっかり勉強して基礎的な思考力を身に着け、大学生で一層思考を研ぎ澄ませたのちに興味関心に従い行動しアイデンティティを模索・確立し、就活時期に自己と社会との関係性に悩み、そして社会人になるときには何をすべきか、達成したいのかが明確で、目標に向かって努力できるという流れです。

 

現状の問題点

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 最後に現状の社会における問題点を指摘します。まず第1に教育者が自身の教育の位置づけを把握していないということです。教育者自身がアイデンティティを確立しておらず、自身の考えを醸成できていない場合がほとんどなので当然といえば当然ですが、子供たちに勉強を教える意義を理解していません。ゆとり教育の時代は子供たちが自らの関心を拡げるチャンスが多かったですが、その時代は終わり、受動的に授業を受ける時間が増えてしまっています。

 

 第2に、一層思考を深化させることに最も貢献すべき高校高学年や大学生の時期に、集めた情報から自身の考えを醸成する機会が少なすぎます。ようやく大学入試制度も改善されるようですが、この時期に情報を詰め込んでいるようでは時期が遅すぎます。さらに大学での受動的な態度を促す授業スタイルも相まって、大事なこの時期に情報収集に終始してしまい、結果アイデンティティの確立を待たずして就活に突入してしまうというわけです。

 

 最後に教育自体が画一的すぎます。人によって自我が目覚める時期は様々で、もしかしたらもっと早くに就活したほうがいい場合もあれば、就活を遅らせたほうがいい場合もあります。特に特殊な事情から異常に早くに覚醒した人に対しては特別に教育を施した方がよいと思います。なぜなら彼らはもはや画一的かつ受動的な教育など必要としておらず、自ら主体的に学んでいくことが可能だからです。

 

最後に

 

 現代に生きる我々ミレニアル世代はネットを通じて容易に他者の情報を手に入れることができ、多様な生き方を知ることができる点で以前より自己肯定感を持てるはずです。また、選ばれた一部の人だけがメディアに取り上げられていた時代は終わり、自らtwitterなどのSNSを通して同じ考えを持った人とつながりやすく、この点でも自分のポジションをとることは容易になっています。このように超AI時代に突入し、アイデンティティ確立の重要性がより高まっている一方で、そのハードルはどんどん下がっています。

 人生という限られた時間を無為に過ごさず、しっかり考えて積極的に行動し、アイデンティティを確立して有意義な人生を過ごしてほしいと切に願っています。

 

編集後記

 

 もっと深く論文チックにかけるものだと思っていましたが、かなり関心のある分野にもかかわらず目指していた分量の半分でされに言葉遣いも普通に記事になってしまいました。意外と自身の考えを醸成させて発信することは難しかったです、最後の方は集中力切れました、さらに精進したいとおもいます。